1983年、突然異変は起こった。
煙突から煙が出るのが当たりまえだった頃、 一人の男のアイデアで、 薪ストーブから排出される汚染物質を 10%にまで抑える 画期的な薪ストーブが世に出た。 あれから24年。 触媒機の定番をもう一度味わってみよう。 |
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コンベクションヒーターは、ドアのラインや全体のフォルムなど、強くフェデラル様式をイメージしている。甲乙は付けがたいが、FA265は左右奥行きのバランスが良く、質実剛健の中にも優雅なライン取りがなされている。 | ||
フランクリンストーブが発明されて以来、薪ストーブは、熱を効率よく燃焼室内に取り込む工夫がなされてきた。たしかにその性能は暖炉に比べ非常にレベルの高いものであった。そのフランクリンストーブに比べ熱効率を一気に2倍にするとんでもない薪ストーブが現れた。しかも煙突から排出される煙は、それまで約10分の1にまでクリーンになったというから驚きである。そんな魔法のような仕掛けが、電気も石油もましてや原子力も使わずにできるのだろうか。
環境問題を告発した書『沈黙の春』(レイチェル・カーソン)は1962年に初版が出版されたが、その21年後の1983年、ダッチウエスト・ストーブの創始者、ブルースマッキーニが環境問題の一つの答えとして「薪ストーブ」に新たな命を吹き込んだ。ジャーナリストであったブルース・マッキーニは、環境の時代を見据えて自動車の排気ガスに含まれる二酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素等の分解・浄化のために使われ始めた「触媒(アメリカのダウコーニング社が開発した)」を薪ストーブに応用することを思いついた。この触媒によって、薪ストーブの排ガズの主成分でススやクレオソートが煙突に運ばれる前に90%も燃焼させることが可能となった。ブルース・マッキーニは、この触媒装置を薪ストーブに組み込んだコンベクションヒーターで、地球環境の保全と閉塞感が支配していた薪ストーブ業界へ、「クリーン」な新風を送り込んだ。 |