








最近の住宅は高断熱化・高気密化が進み、断熱基準も強化され、従来とは比較にならないほどの暖かい生活ができるようになってきました。
計画換気、強制換気、熱交換型の換気扇などの普及も著しく、そして室内の温度差がほとんどないという暖かな住宅が「最も進んだ、最も快適な住まい」として宣伝されています。
しかし、これらの住宅で使用されている暖房設備の殆どは対流式暖房機で、室内には埃が充満しており、室内の密閉感は息苦しく感じられ、健康で快適な生活空間といえるのでしょうか?
気密の高すぎる室内は当然閉鎖的で、万が一の停電時にはどうなるのかと言う不安もあります。高原や広い海辺などに立ったときに感じる「さわやかさ」「開放感」などは、つまり空間の広がりから感じるものであり、人間が気密の高い閉鎖空間に閉じ込められて良いはずはありません。
仮に閉鎖空間にいて窮屈さや息苦しさを感じないとすれば、そのこと自体が既に問題で、病的な生活をしている事に他なりません。本来の人間としての健全な感覚が麻痺しているといえます。
高断熱・高気密住宅は昔の住宅の 1/3 のエネルギーで快適な室温が維持でき、地球環境にもプラスになるという良い点もありますが、上記の様に悪い点もあり、まだ進化の過程での一つの手段であるという認識が重要だと思われます。
従来の住宅構造や断熱構造のどれをとっても完成品ではない事は当然ですが、むしろ重要なことは、健康を害する要素や、大人より敏感な子どもたちが精神的な障害を引き起こす恐れがあることだけは避けることではないでしょうか。
動物による様々な実験からも明らかなように、「閉所」での生育環境は人間にとっても決して良いはずもなく、まして成長過程の子どもたちは、敏感に環境の影響を受けることが明らかです。
生活環境を密閉し、一人ひとりを個室に閉じ込めるような住宅が、何を生むのかを考えるべきです。例えば、プライバシーを守るために、子どもが小さい時から個室を与えられるということは問題です。
現在の住宅建設では常識的になりつつありますが、大変な問題ではないでしょうか。本来プライバシーを育てるために、「他の人の気配や音」を感じながら、ともに生活する家族との距離を適正に保つことからプライバシーというものを学びつつ、他人への配慮を学習する事によって初めて自分自身のプライバシーというものが確立されてゆきます。小さい時から個室を与えられた子どもには「自分だけの不気味な空間や世界」ができてしまうとは考えられないでしょうか。
住環境とはとりもなおさず、生活環境であり、家族という共同体の凝縮された社会でもあります。
五感を全て働かせて生育する子どもにとって、自分だけの空間や時間が多いということは、何を吸収して育つことになるのかとても不安になります。
このように住環境を考えた場合、生活環境をより開放的に設計し、少なくとも家族の気配を感じお互いのかかわり合いが見える空間であることが、とても大切なことと思います。
省エネで環境に優しく、なおかつ健康的で快適な生活空間を創造しようとした時、現在の住宅傾向である高断熱高気密は実はリスクの多い仕掛けであること、特に密閉空間が大きな問題であり、見直してゆく必要があると考えます。
仮に冷暖房の省エネが効率よく行えて、しかも空間は開放的で、なおかつ密閉感等の息苦しさもない、暖かな住宅が理想だとしたら、技術的に不可能ではありません。赤外線の仕組みを知り、その効用を活用する事などはとても効果的です。 赤外線については、光の一種であるが一般的には「遠赤外線」という言葉が知られ、お日様の陽だまりのぬくもりが広く知られており、また床暖房や、薪ストーブからの「柔らかな暖かさ」などは典型的な例です。 この赤外線の中で特に波長の長いものが遠赤外線、短いものが近赤外線として分類されています。 これらの赤外線の暖かな熱の事を「輻射熱」とも呼び、「心地よい暖かさ」の代名詞として扱われています。 夏の日差しがジリジリと焼き付けるような熱さを感じるのは、日光の中に含まれる紫外線の影響が大きいからで、冬の日差しが柔らかく感じられるのは、日射角度が低いため紫外線が大気に吸収され、波長の長い赤外線の比率が高くなるからです。赤外線は、健康光線とも言われ、人体に吸収されると暖かくなり、血行が良くなり、結果として健康に優れた役割を果たすために良いとされています。 健康でしかも心地よく、不快な風も巻き起こさず、音もない「赤外線による輻射暖房」が理想の暖房であることは誰もが認めるところです。
最近の日本は昔と比べ、ほとんどの家族が自分の部屋を持ち、それぞれの部屋にテレビ、暖房、クーラーが設置され、食事が済めばみんな自分の部屋で好きなことをして寝るまでその部屋で一人で過ごすという生活様式に変わってしまいました。一つの部屋で家族が楽しく過ごす時間がごくわずかという家庭がほとんどではないでしょうか?こういう生活を続けていると、特に子どもたちにとって家庭での心の教育なんてできっこありません。家に帰っても一人ぼっちのような生活を続けていては健全な心は育ちません!今の日本にはもっともっと家族の団らんの時間が必要だと思います。 そこで薪ストーブの登場です。精神的に不安定で火遊びの癖のある子どもさんがいました。どうしていいか困っていたところ、家の中に火を使える場所を作ればいいかもしれないということで、おじいちゃんが薪ストーブを買ってくださいました。そして家族は全員別の部屋に出てもらい、その子にだけ薪ストーブの使い方を教え、教えられたことをその子が家族に教えるように指導してみると、大切な仕事を任されたその子は責任感を持つようになり、健全な心が芽生え、精神的にもしっかりと立ち直ったという実際の話があります。 家族の心がバラバラになっている日本にこそ、薪ストーブが必要だと思います。ただ家の中を暖めるだけではなくて、家族の心もあたためてくれますよ!